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- 糖尿病の治療
糖尿病の治療は大きく3種類
I型糖尿病とⅡ型糖尿病では症状が出る原因は異なりますが、いずれの場合も、基本となる治療は大きく次の3種類に分けられます。
- 食事療法
- 運動療法
- 薬物療法
以下ではこの3つの治療についてご説明いたします。
食事療法
食事療法の概要
糖尿病の食事療法は、血糖値の急激な上昇を抑えることが目的です。食事中の糖質の量や種類、タイミングを調整し、適切な食事を摂ることで、血糖値のコントロールを行います。また、食事だけでなく、飲み物やお菓子類などの摂取も含めた食生活全般についても見直すことが重要です。食事療法は、糖尿病治療において欠かせない重要な要素の1つです。
食事療法のメリット
食事療法のメリットは、血糖値のコントロールがしやすくなることです。食事の糖質量を制限することで、急激な血糖値の上昇を防ぎ、安定した血糖値の維持ができます。また、食物繊維や栄養素をバランスよく摂ることで、糖尿病合併症の予防にも繋がります。食事療法は、薬やインスリン注射に頼らずに、自分でコントロールできる治療方法としてもメリットがあります。
食事療法のデメリット
食事療法のデメリットは、食生活の変更が必要になることです。糖質の制限や食事の種類、量の管理など、日々の生活習慣が変わることで、ストレスを感じることもあります。また、一度制限を緩めてしまうと、血糖値の急激な上昇や合併症のリスクが高まることがあります。
ですが、好物が食べられなくなったり、ずっと家族や友人との食事を楽しめなくなったりするわけではありません。適切な血糖値の管理が行われていれば、糖尿病の方でも食事を楽しむことは十分可能です。
東大阪市・瓢箪山駅にある横内内科 循環器・糖尿病内科では、患者様の日々の生活を踏まえたうえで、糖尿病と上手く付き合っていくことができる食事療法をご提案しています。食事の摂り方でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
運動療法
運動療法の概要
運動療法とは、適度な運動を行うことで、血糖値の上昇を抑える治療方法のことです。運動療法には、有酸素運動とレジスタンス運動の2つがあります。有酸素運動は、歩く、ジョギング、水泳などの軽い運動があり、レジスタンス運動は、軽いウエイトトレーニング、エクササイズバンドを使った筋トレなどがあります。
運動療法のメリット
運動療法には、糖尿病の患者様に多くのメリットがあります。第一に、運動することにより血糖が筋肉に取り込まれて消費されるため、血糖値が低下します。また、体重を減らすこともできるため、肥満が原因の糖尿病の悪化を予防できます。さらに、運動によって、血圧やコレステロール値が下がるため、心臓病など様々なの合併症を予防することも可能です。
運動療法のデメリット
高齢者や肥満の人などは、運動によってケガをするリスクが高くなるため、注意が必要です。また、糖尿病性網膜症や進行した狭心症をお持ちの方では、激しい運動はかえって病状を悪化させることにもつながります。すでに糖尿病にかかっておられる方はどれくらいの運動がよいのか主治医と相談し、実施するようにしてください。
加えて、低血糖症にも注意が必要です。運動によって血糖値が下がりすぎると、低血糖症になる可能性があるのです。特にインスリン治療をされている方や数種類以上の内服をされている方は低血糖のリスクが高くなります。運動をする時間帯など主治医と相談し、実施するようにしてください。
薬物療法
薬物療法の概要
薬剤には、体内のインスリンの分泌を促すグリピリドやスルホニルウレア、グリニド、また体内のインスリンの働きを補助するビグアナイドやDPP-4阻害剤、GLP-1受容体作動薬、そのほかブドウ糖の吸収を遅らせるα-GIや、ブドウ糖の排泄を促すSGLT2阻害剤などがあります。体内で不足したインスリンを直接補充するインスリン療法は、最も歴史が古く、当時不治の病と言われた糖尿病の画期的な治療薬として1921年に発見され、実に100年以上使用されていますが、残念ながら内服薬はいまだに開発できず、注射による治療しかありません。幸いにも上に挙げたように、現在では内服薬がたくさん開発されており、これらをうまく組み合わせることでインスリン注射を行わずとも、治療できる患者さんが多くなっています。
薬物療法のメリット
薬物療法によるメリットは、血糖値のコントロールがしやすくなることです。薬を使うことで、食事や運動だけではコントロールしきれない場合でも、血糖値を下げることが可能であり、その結果、糖尿病の合併症にかかるリスクを減らすことも期待できます。特に、高血糖が長期間続くと、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症などの合併症を発症するリスクが高まりますが、薬物療法によって合併症のリスクを減らすことができます。
薬物療法のデメリット
薬物療法によるデメリットは、副作用があることです。薬剤によって異なりますが、吐き気、下痢、腹痛、肝機能障害、低血糖症状などの副作用が報告されています。また、薬剤によっては、他の疾患を併発している場合には使用できないことがあります。
さらに、内服薬による血糖値のコントロールが厳しい場合には、インスリン治療が必要になることもあります。インスリン治療では、食事を摂る前にインスリンを腹部などに自分で注射する必要があり、患者様によってはインスリン注射のせいで、外食の機会が減ったという方もおられます。しかしながら、インスリン注射が必要な患者様でも、必ず朝昼夕の三食前に注射が必要な訳ではありません。もちろん病状によりますが、働き盛りの患者様の場合など、内服薬を組み合わせることで、インスリン注射は朝食前のみで済む方もおられます。
また、薬物療法は血糖値を下げる効果があり、特にインスリン注射では血糖降下作用が強く、低血糖症状が起こることがあります。低血糖症状とは、血糖値が低くなりめまい、発汗、動悸、意識障害などの症状が現れることです。低血糖症状が起こった場合には、早めに砂糖やジュースを摂ることで改善できることが多いですが、重症化することもあるため注意が必要です。
糖尿病は食事と運動で改善可能
糖尿病の治療において、主治医は患者様自身です。なぜなら他の病気と違い、糖尿病は患者様自身の取り組みで改善もすれば、悪化もするからです。しかし逆に言えば、薬物療法に頼らなくても、食事療法と運動療法だけでも血糖値はコントロールできるということです。
実際、血糖値の目安となるHbA1c(ヘモグロビンエーシーワン)の数値が10%あった患者様でも、薬物療法を行わず、食事療法と運動療法だけで6〜7%まで改善するケースも珍しくありません(※)。
「糖尿病になったら一生薬がなければ生きられない」と誤解している患者様もいらっしゃいますが、初期の糖尿病であれば投薬をしなくても十分改善可能なのです。健康診断などで血糖値やHbA1cが高いと言われ当院をはじめて受診される患者様の大半は、まずは食事や運動を見直すことからはじめていただいており、いきなり薬物療法を始めていただくケースは希です。
■※…HbA1c(ヘモグロビンエーシーワン)の数値について
HbA1cは赤血球の中のヘモグロビンという色素のうち、何%が糖と結合しているかを示す数値です。6.5%を超えると糖尿病の診断となり、6.0%~6.5%はいわば糖尿病予備軍にあたります。10%以上は医師から糖尿病治療のための入院をすすめられる水準です。なお、正常範囲内と判断されるのは5.6%未満とされています。