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なぜ糖尿病で手足のしびれが起きるのか
糖尿病は初期の段階では自覚症状がありません。しかし疾患が進行すると、様々な自覚症状が現れます。そのうちの代表的な症状が手足のしびれです。
原因は手足の末梢神経の障害です。糖尿病は血糖値(血液中の糖の濃度)を下げるインスリンというホルモンの分泌量が減ったり、効き目が悪くなったりすることで、慢性的な高血糖状態になる疾患です。
高血糖状態が長引くと、全身の毛細血管に損傷が生じるとともに、老廃物が蓄積するようになります。すると毛細血管から手足などの末梢神経に栄養が運ばれなくなり、神経の機能に障害が起きるのです。これは糖尿病の代表的な合併症で、糖尿病性神経障害と呼びます。
全身に広がる糖尿病性神経障害
糖尿病性神経障害は手足だけでなく全身に広がり、様々な症状を引き起こします。
眼や顔面に関する症状
外眼筋麻痺
高血糖状態により眼のまわりの筋肉を制御する神経に障害が起きることで、眼の動きが制御できなくなります。
顔面神経麻痺
高血糖状態が原因で顔面神経に損傷が起きることで、顔の筋肉の運動が制御できなくなるため起こります。
突発性難聴
内耳の神経が糖尿病によって損傷し、音を聞くための神経に障害が出ることで、急激に聴力が低下します。
心臓や血圧調節に関する症状
立ちくらみ
自律神経の損傷が原因で、血圧調整に異常をきたします。そのため、急激に立ち上がると血圧が下がり、立ちくらみが起きます。
不整脈
糖尿病によって自律神経が損傷すると、心臓の動きを制御する神経に障害を引き起こすため、心拍数が乱れたり、不規則なリズムで動いたりするようになります。
消化器に関する症状
胃の蠕動(ぜんどう)障害
自律神経に障害が生じると、胃の動きを制御する神経が正常に働かなくなるため、食事の消化や胃の排出が遅くなり、胃もたれや吐き気などにつながります。
下痢、便秘
高血糖状態により神経や筋肉が損傷してしまうことが原因で、腸の働きが悪くなったり、腸の蠕動に障害が出たりするため、排便に問題が生じます。
泌尿器や生殖器に関する症状
排尿障害
膀胱の神経や筋肉が高血糖状態によって損傷すると、排尿の制御が上手くいかなくなります。その結果、頻尿になったり、常に尿意を感じる状態になったりします。
勃起障害
糖尿病性神経障害は陰茎の神経にもダメージを与えます。その結果、陰茎への血流を制御する神経の働きが悪くなり、勃起障害が起こります。
四肢に関する症状
筋萎縮
糖尿病を原因とする末梢神経の損傷が起きると、筋肉を動かすために必要な神経刺激が届かなくなり、筋肉の萎縮が生じます。
こむらがえり
高血糖状態により足の筋肉の神経が傷つくと、筋肉の動きが正しく調整されなくなり、こむらがえりが起こりやすくなります。
その他
皮膚の潰瘍(かいよう)・壊疽(えそ)
糖尿病性神経障害によって末梢神経の損傷が起きると、皮膚の感覚神経にも影響を受け、痛みなどを感じなくなります。その結果、適切な治療がされずに治りが遅くなり、潰瘍や壊疽に繋がる場合があります。
自覚症状のある方は専門の病院・診療所へ
糖尿病以外にも手足のしびれを伴う疾患はたくさんあります。
- 脳梗塞
- 脳腫瘍
- 脊椎椎間板ヘルニア
- 脊柱管狭窄症
- 手根管症候群
- サルコイドーシス
- 尿毒症
- ビタミン欠乏
- アルコール多飲
- 下肢静止座不能症候群 など
このように手足のしびれには糖尿病を含め、今後の人生に関わるような疾患や、命に関わるような疾患が隠れている可能性があります。自覚症状がある場合は、安易に考えずに当院へご相談ください。