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頻尿と糖尿病の関係性
糖尿病が進行すると、体は血糖濃度を薄めるために水分を求めるようになります。糖尿病の方がたくさん水を飲むようになることがあるのは、このためです。たくさん水を飲むと、余分な水分を排出するために、腎臓はたくさん尿を作ります。これに加えて糖尿病の方の腎臓は、大量の余分な尿を濾過するために過剰に働き、より多くの尿を作ります。これが糖尿病の方が頻尿になる原因の1つです。
腎臓の役割とは
腎臓は、血液を濾過して、体の中の老廃物、余分な水分や塩分などを尿と一緒に排泄する役割を担っています。
腎臓はネフロンと呼ばれる特殊な構造体が100万個も集まってできています。このネフロンは毛細血管の塊である糸球体と、それに繋がる尿細管という管で構成されており、この中で血液の濾過を行います。
腎臓はなぜ尿を作るのか
日々生活をしていれば、家の中にはゴミが溢れかえってしまいます。それを放置し続ければ、においが出たり、虫が湧いたりして、快適に住めなくなるでしょう。快適な生活のためには、定期的にゴミを捨て、掃除をして、家を清潔に保つ必要があります。
腎臓は体内で、こうしたゴミ捨てや掃除を行う臓器です。老廃物、余分な水分や塩分などを排泄することで、体内の水分量やナトリウム、カリウムなどのイオンのバランスを整えたり、血液のpHを調整したりしています。
そんな腎臓にとって、糖尿病による高血糖状態は見過ごせない事態です。高血糖状態になると、血液は砂糖水のように粘度が高くなり、スムーズに流れなくなります。上手く流れなかった糖は血管の壁に含まれるコラーゲンと結びつき、壁を硬化させます。すると血管本来の弾力が失われて、血管が傷ついてしまいます。
血管が傷つけば、体のあちこちに不具合が生じます。いわゆる糖尿病の三大合併症(網膜症・腎症・神経障害)のほか、脳卒中や心筋梗塞も血管の損傷が原因で起きる疾患です。
こうした事態を避けるため、腎臓はどうにかして血糖値を下げ、余分な糖を体外に排泄しようとします。糖尿病の方が頻尿になるのは、腎臓が体を守ろうとしているからなのです。
その他の頻尿の原因
このように書くと、最近トイレの回数が増えている方は「もしかして糖尿病なのではないか」と不安になるかもしれません。しかし頻尿の原因は糖尿病以外にも以下のようにたくさんあります。
- 膀胱炎
- 前立腺炎
- 前立腺肥大症
- 膣圧性尿失禁
- 膀胱結石
- 膀胱がん
- 前立腺がん
- 間質性膀胱炎
- 脳卒中の後遺症
- 脊髄疾患
- 睡眠障害
- 降圧利尿薬、遮断薬などの服用
- 過剰な水分摂取
- 精神的な緊張、不安
- 加齢 など
これらが原因の場合でも治療はしなければいけませんが、「頻尿だから糖尿病」とは限らないのです。
「頻尿の原因は糖尿病かも…」と思ったら
しかし、健康診断で糖尿の傾向があると指摘を受けている方や、極端な口の渇きや独特な尿のにおい、手足のしびれなど、他の糖尿病の自覚症状がある場合は、糖尿病が頻尿の原因となっている可能性があります。
糖尿病は重症化すると命に関わる重大な合併症を併発する疾患です。「ただトイレの回数が多いだけ」と考えるのではなく、まずは糖尿病に詳しい医師のいるクリニックで検査を受けるようにしましょう。
横内内科 循環器・糖尿病内科では、糖尿病の基本的な検査であるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の血液検査を行っているほか、注射が苦手な人でも指先の血1滴で気軽に血液検査を受けていただける設備も導入しております。是非、お気軽にご相談ください。